古都の記憶の家

古都の記憶を引き継ぐ佇まい

南が海、三方が山に囲まれた鎌倉は、美しい自然環境と豊かな歴史的遺産をもつ古都です。社寺に代表される歴史的な建造物や遺跡と、それらをとりまく樹林地などの自然的環境が一体となって、鎌倉らしい雰囲気をつくりだしています。明日香、奈良、京都と共に、鎌倉の歴史的風土は古都保存法によって守られてきました。

では、雰囲気をつくりだす「鎌倉らしさ」は、何から生まれるのでしょうか。5つ程ありそうです。

  • 都市がほどよい規模で、周囲を囲む山や海と自分の位置を感じながら歩いて回れること。
  • 手にとれる至近距離に緑や水がたくさんあり、花やホタルなど季節の変化に癒されること。
  • 武家社会を引き継いだ建築文化の格式、質の高い納まりを身近に触れられること。
  • 明治以降、政財界人、文化人が別荘をつくり、鎌倉独特の洋館が残っていること。
  • 茶道家元も住み、お茶の盛んなことによる「もてなしと思いやり」が街並みに感じられること。

恵まれた敷地規模と周辺環境の建設用地に、鎌倉らしさに沿いながら価値を高める家づくりの為に行ったことは、次の3つです。

  • 周辺の社寺や山並みに合わせ、道行くひとが既視感を得られる形態をつくること。
  • 古びることで価値が増す様に、使う素材と納まりが細部にわたって「本物」であること。
  • 周囲の植栽や土留め・舗装は、街に対して硬く閉ざすことなく家を守る様に設けること。

竣工後、初めての来客として訪れた鎌倉在住のアメリカ人シスターは、失われつつある鎌倉の良さをこの家に発見し、時間を忘れて建て主との会話を楽しんでいました。

西側道路側の駐車場と生垣。コンクリート土間仕上げを最小限にした
玄関前。栗古材に埋め込んだインターホンとポスト。軒先手水鉢
玄関土間。地元の大磯豆砂利洗い出し仕上げ
1階広間とキッチン。壁は大津壁撫で切り仕上げ。大黒柱は尺角カヤ
1階広間と茶の間。柱は檜・高野槇。2階床鳥は赤松と7寸角檜材
茶の間。畳は藁床。壁は色土引き擦り仕上げ。月見障子
2階寝室。壁は色土撫で切り仕上げ無双付き。古建具使用
1階広間額入り障子
近隣風景。夏はホタルが舞う小川
近隣風景。苔むした鎌倉石を積んだ土留め
近隣風景。清楚な佇まいの門と生垣
近隣風景。窓と妻壁の色合いが美しい洋館

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