吹き抜けの家

吹き抜けギャラリーを楽しむ

東京の山の手の住宅地として知られる場所で、道路を隔てて南東側には歴史ある神社の鎮守の森が見えます。緩やかに南傾斜となっている周辺敷地の頂部で平坦地の際に位置する敷地は、地盤・眺望・採光・通風など住宅地として良い条件がそろっています。

道路と敷地に段差があることから、地下1階、地上2階建てとし、3層を結ぶ階段空間が広く明るく楽しいものに成る様に工夫しました。天窓からの光が、黄色の大津磨き壁で仕上げた緩い廻り階段に降り注ぎます。桜材を丸く削り出した手摺が、軽快に取り付いています。工事に参加していただいたアイアンワーク造形家の作成した手摺が、緩やかな曲線で繋がれています。

玄関から入った最初の部屋は、美術品を楽しむギャラリーです。この部屋の壁は、白土に漆喰を混ぜた白大津壁として、反射しない表現にしました。この壁は、南側に設けた吹き抜けの中を2階手摺まで達しています。中塗り土を使った水捏ね撫で切り仕上げ2階の壁と比較すると、控えめですが存在感のある白壁となりました。

一方で、地震で壊れない家とすることを求められました。尺角6m材の通し柱を10本(欅2本、栗2本、檜6本)2間(3.636m)間隔で立て、太鼓梁や7寸角材で繋ぐ軸組の上に、赤松の太鼓梁を2段重ねた和小屋を載せました。各階の壁は、通し貫に竹小舞下地土塗り壁です。外壁は、杉ラス下梁の上にモルタル塗り土佐漆喰金鏝押え仕上げ、腰壁と隅部に平瓦張りとしました。内壁は基本的に大壁として、主要な柱以外は見せない納まりにしてあります。

とても研究熱心な建て主との打ち合せは、新たな挑戦を始めるための刺激的な時間の連続であり、一つの建築を共に作っていくという濃い経験となりました。

1、2階の中央南側に設けた吹き抜け。栗尺角通し柱と栗太鼓梁は漆塗り。
地下室から2階まで通じる廻り階段。壁は黄大津磨き壁。
2階から階段を見下ろす。アイアンワークの手摺がつながる。
2階広間。南側正面の窓は中央の吹き抜け空間。
広間西側のキッチン方向を見る。
赤松太鼓梁を重ねた小屋組み
南側に設けた明るい浴室。青森ヒバ羽目板。伊豆石腰張り。洗い場床コルク張り。
1階トイレ。壁は赤大津磨き。

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